エチオピアのコーヒーセレモニー
世界じゅうで愛飲されているコーヒーですが、その発祥の地はエチオピアです。
アビシニア高原の緑地に自生していた野生の赤いコーヒー豆を食べたのが始まりだとされています。
エチオピアは今でも上質のコーヒーの原産地として知られており、コーヒーの輸出は、エチオピア経済の大きな柱となっています。
その一方で、生産されるコーヒーの半分は国内に残ります。
エチオピアの重要な文化のひとつに、客をもてなす際の習慣である「コーヒーセレモニー」というものがあります。
日本の「茶道」のごとく、あるいはそれ以上に、エチオピアの「コーヒーセレモニー」は、人々の生活に深く根づいています。
エチオピア北部の町バハルダールの近郊で、ある家族を訪ねてみると、その「コーヒーセレモニー」が始まっていました。
まだ朝だというのに、今日はすでに3度目だとか。
庭ではさまざまな植物や果物、コーヒーセレモニーで使う木の葉などを育てられていました。
今は切ってしまったけれど、昔はコーヒーの木もあったそうです。
エチオピアではお客さんが来ると必ず「コーヒーセレモニー」が行われます。
と言っても、特別な行事という感じではありません。
ご近所さんが顔を出しただけでも、別居している家族の一人が来ただけでも、そのたびにセレモニーが始まるようです。
セレモニーでコーヒーを入れるのは女性の役目。
このおうちでは娘さんがいれてくれました。
1回のセレモニーで3杯あるいは5杯のコーヒーを飲みます。
葉っぱを敷き詰めて、お香を焚き、ポットに水を入れ……から始まり、
最初のコーヒーが出てくるまでの時間は30分~40分。
コーヒーを飲むだけではなく、家族や客人との会話や、焙煎し始めた時に漂ってくる香ばしいコーヒーの香り、お香など、周りの雰囲気全てを楽しむのが「コーヒーセレモニー」なのです。
この家のご主人は、「こうした時間があってこその美味しいコーヒーだよ」と語ってくれました。