サウジアラビア最初の世界遺産『アル・ヒジュル古代遺跡(マダーイン・サーリフ)』
奇妙な形の岩山と砂漠の中に突如として現れる、かつての高度な文明を伝えるナバテア文明の大規模な遺跡群『アル・ヒジュル』。
別名『マダーイン・サーリフ』。
この遺跡は、2008年に、サウジアラビア初のユネスコ世界遺産に登録された。
『アル・ヒジュル(الحجر)』とは『岩だらけの場所』、
『マダーイン・サーリフ(مدائن صالح)』は『サーリフの町』を意味する語で、
どちらもイスラームの聖典『聖クルアーン』の中に言及されている。
アル・ヒジュルの町は、ヘレニズム時代からローマ時代にかけて、アラビア半島南部と地中海を結ぶ交易路の中継地として栄えた。
直接砂岩に彫られた一連の墓やモニュメントの建築及び装飾は、完成度が高く、
早い時期に廃墟となったことと気候条件が有利に働き、保存状態は極めて良い。
建築様式と装飾には、アッシリア、エジプト、フェニキア、ギリシャなど多様な文明の影響が見られ、碑文には、古ヘブライ語、ナバテア語、ギリシャ語、ラテン語など複数の古代言語が書かれている。
岩盤地に造られたたくさんの人工的な井戸があり、現在まで使用されているものもある。
砂漠は、そこにいるだけで、人間の原点に立ち戻らせてくれる場所。
古代の人々の思いが形として残っているこの遺跡にいると、その感がさらに強くなるようだ。