エスファハーンのイマーム広場
イランの古都エスファハーンは、ここなら住んでみたいと思うほどに、本当に美しい街です。
イランで出会う人はみんな、「エスファハーンはイランの中でも特別な街なんだ」と誇らしげに語ります。
その言葉の源にあるのは、やはり『イマーム広場』の存在です。
「イマーム広場は見たか?」と、何度聞かれたことでしょう。
かつて「エスファハーンは世界の半分」だと言われましたが、まさに、この広場あってこその言葉でした。
イマーム広場は、幅170m、奥行き 500m という巨大な広場です。
その広場を、「イマーム・モスク」「シェイフ・ロトフォッラー・モスク」という2つの壮麗なモスクと、広場建設以前からあった「アーリー・ガープー宮殿」がとり囲んでいます。
サファヴィ朝の最盛期を築いたアッバース1世は、1598年に首都をエスファハーンに移しました。
そのとき、旧市街の南側に大規模な都市計画に基づいた新市街を建設し、その中心となったのがこの広場でした。
この広場では、あらゆる都市活動が行われてきました。
それは、400年以上経過した現在でも変わっていません。
広場は、いつも、若い学生さんや家族連れなど、たくさんの地元の人で賑わっています。
広場の周りには、土産店、カフェ、レストラン、アイスクリームのお店、カーペット、絵画、タイルを売るお店がずらっと並んでいます。
金曜礼拝の日には、イマームモスクから広場の中央部あたりまで、礼拝をする人々であふれます。
礼拝が終わった午後は、家族連れがそのまま広場の芝生にお弁当を広げて、くつろいでいます。
「アーリー・ガープー宮殿」のすぐ隣には、芸術大学があります。
そこの学生さんが「シェイフ・ロトフォッラー・モスク」や広場をスケッチしている姿をよく見かけます。
自分の絵を売っている絵描きさんもいます。
彼らのひとりに話しかけてみると、「この場所が大好きなんだ。特に、シェイフ・ロトフォッラー・モスクがね」と答えてくれました。
「シェイフ・ロトフォッラー・モスク」は、BS・TBSの『世界の窓』でもとりあげましたが、美しい外観をもっています。
そのフォルム、たたずまい、彩釉タイルの美しさ。
建築の専門家にきくと、「外観の美しさは言わずもがな、光が射し込んで輝くブルーのタイルは芸術的で美しい。モスクの内部へ入る光の量は礼拝に最適になるよう計算されているんだよ」と教えてくれました。
取材した絵描きさんのひとりは、シェイクロトフォッラーの美しさを常に正面から見ていたいという理由で、モスクの正面に自分の店を構えたんだそうです。
イランというと、きな臭いニュースとともに、少し恐いようなイメージをもたれることも多いのですが、実際のイランの街はいたって平和で心地よく、人々は親切でフレンドリーです。
地元の人と話してみると、政府や生活に対してはそれなりに不満はあるものの、結構生活を楽しんでいるように感じました。
次回、もう少し、エスファハーンのご紹介をしたいと思います。