アゼルバイジャン ラヒジ村の銅細工職人
ユネスコには、形ある不動産を対象とする「世界遺産」の他に、「無形文化遺産」や「世界の記憶」があります。
「無形文化遺産」には、日本での歌舞伎や和食など多数登録されていますが、アゼルバイジャンのラヒジ村の「銅細工」もその一つです。
2015年に登録されました。
ラヒジ村は、石造りの古い町並みが残るアゼルバイジャンで最も古い集落の一つです。
イスマユル地方にあり、コーカサス山脈の東斜面、ギルディマン・チャイ川の左岸沿いに位置しています。
ラヒジの村人の多くが、アゼルバイジャン語の他に、独自の言語タティ語を話します。
ラヒジ村は古くから手工芸品生産の中心地でした。
このあたりには銅鉱山があるため、銅製品の製造が特に有名で、銅細工の技術は現在まで受け継がれています。
2015年12月にユネスコの無形文化財に登録されたのは、そのためです。
また、ラヒジ村は、銅製品の供給だけではなく、熟練した銅細工職人の育成にも貢献してきました。
「ミスギャル・バザル」(銅細工のバザール)通りの両側には、今でも銅の工房が集まっています。
伝統工芸の銅細工職人のおひとり、ナザルさんの工房を見せてもらいました。。
銅細工の技術は代々受け継がれてきたものです。
ナザルさんの場合は、彼が10歳の時に亡くなった父親から技術を受け継いだそうです。
ナザルさんは、自分が親になると、自分が父親からしてもらったように、小さい頃から息子さんを工房へ連れていき、息子さんに技術を教えました。
今では5歳のお孫さんも工房に連れていくんだそうです。
息子のカマルさんとその息子さん
また、ナザルさんの兄弟2人も銅職人だそうです。
銅細工の技術はこうして受け継がれているんですね。
そして、この村の何とも言えない雰囲気のよいたたずまいも、いっしょに受け継がれているます。
ちなみに、このラヒジ村へ向かう道、車一台がやっと通れる幅しかありませでした。
一歩間違えれば谷底です。
対向車が来ることなく、何とかラヒジ村に到着した時は、ほっとしました。
そんなスリルも味わえる場所です。