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ダマスカスの旧市街

9月初旬、隣国レバノンの首都ベイルートからタクシーで国境を越え、シリアの首都ダマスカスを訪れました。
内戦の影響でダマスカス空港を発着する航空便が限られているため、多くの人々がこのルートを使っています。
所要時間は4時間ほどです。

ダマスカスに住む人々は、「ここは世界最古の都」と誇らしげに言います。
紀元前8000年ごろには、既に人が住んでいたようです。
正面に見えるのはカシオン山。

ここが旧約聖書の「カインがアベルを殺した場所」だという伝承があります。

シリア各地の有名な遺跡の出土品を所蔵しているダマスカス国立博物館。
まだ閉館中でした。

シリア観光省の職員の方に
「博物館はまもなく再開します。今日のところは、『生きた博物館』の旧市街に行ってみてはどうですか」
と言われ、旧市街に足を運ぶことにしました。

ダマスカス旧市街(世界遺産)の入口の1つ、スーク・ハミディーエ。
スークとは、アラビア語で「市場」のこと。
約1kmにわたって様々な商店が軒を連ねています。

平日の暑い昼間だというのに、多くの人で賑わっています。
週末の夜は歩くのも大変なほど混み合います。

スーク・ハミディーエを抜けると、現存する最古のモスクとされているウマイヤドモスクがあります。
スーク・ハミディーエは、言わば、ウマイヤドモスクの「門前町」です。

モスクの前庭にはローマ時代の建造物が。
モスクの前身はローマ神話の主神ジュピターを祀る神殿でした。

そのジュピター神殿が、4世紀末にキリスト教会へと改修され、さらにその約80年後の715年に、モスクとなりました。

モスクへと改修された後も、ジュピター神殿やキリスト教会時代の名残が見られる箇所がいくつもあります。

こちらは外壁に残るジュピター神殿の入口。

モスクへの改修工事中、洗礼者ヨハネの首とされる頭蓋骨が発見されたそうです。
頭蓋骨は埋め戻され、のちに廟が建てられました。
シーア派の人々の聖地となっており、この日は、パキスタンからの巡礼団が、祈りの言葉を唱えながら廟の周りを廻っていました。

モスクの中にエアコンはありませんが、石造りのためかひんやりとしています。

人々は礼拝の後、友達と話をしたり、昼寝をしたりしています。
「1日中寝転がって寛いでいる人もいるが、モスクは心の安らぎを得る場所なので、別に構わないよ」
と言ってくれました。

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