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イエス・キリストと同じ言葉を話す村「マアルーラ」

シリアの首都ダマスカスの北約60kmの山間部に、キリスト教徒が多く住む町、マアルーラがあります。
マアルーラは、イエス・キリストと同じ言葉を話す人々が暮らす村と知られています。
シリアの公用語はアラビア語ですが、ここマアルーラでは、キリストが話していたとされるアラム語が現在も話されています。

町には複数の教会・修道院が点在しています。
そのうちの1つサルキス修道院は、4世紀頃の建設とされ、世界最古の教会の一つして知られています。
しかし、外観はどう見ても新しそうです。
地元の人に尋ねてみると、「この間の戦闘の後、修復したのです」とのことでした。

2013年10月、アルカーイダ系の反体制武装勢力「ヌスラ戦線」がマアルーラに侵攻して制圧し、翌年4月に政府軍の反撃を受けて退却するまで、マアルーラを実効支配していました。
サルキス修道院が被害を受けましたが、近くの高級ホテル「サフィール」は完全に破壊され廃墟となりました。

マアルーラへの道中、政府軍の検問所を何度も通りました。
戦闘中他の地域に逃れていた人々の多くは帰還しましたが、ほぼすべての住宅の壁に生々しい銃弾の跡が残っていました。

そうした事実に思いをはせている最中、突然、近くで銃声が聞こえました。
何事だろうと思いきましたが、それは、祝祭のパレードが始まる合図でした。
訪問した日は、ちょうど「聖十字架祭」に当たっていたのです。
エルサレムでキリストの磔刑に使われたとされる十字架の破片が、4世紀に発見された故事に因んでいます。

ダマスカス北郊の山岳地帯独特の、荒々しい調子の歌を歌いながら行進する男達。
パレードに参加した政府軍の兵士が自動小銃を空に向けて乱射すると、歓声が上がります。
修道院から出てきた修道女たちも、愉快そうにそれを眺めています。
普段は物静かなマアルーラの人々の、意外な一面を見た気がしました。

ダマスカスからマアルーラに向かう道中の真ん中あたりにも、キリスト教徒が多数を占める町サイドナヤーがあります。

この町の周辺でも戦闘が頻発したそうですが、町自体はほとんど被害を受けていないように見えました。
この町の小高い丘の上にも大きな修道院があります。

町は今も政府軍によって厳重に警備されており、検問所の通過にかなりの時間を要しました。

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