破壊された世界遺産「パルミラ遺跡」その2
前回の続きです。
昨年9月に訪れたシリアのパルミラ。
パルミラ博物館の内部は無残な姿でした。
壁や天井には爆発で大きな穴が開き、展示ケースのガラスは粉々に砕け、展示品は持ち去られていました。
博物館職員の話によると、この展示ケースは日本政府から寄贈されたとのことです。
押し倒されたままの石像。
展示品の中には、わずかですが、破壊をまぬがれたものもありました。
例えば、このモザイク画。
人物の彫像(胸像)が展示されていた壁です。
彫像は持ち去られたそうです。
壁の右のほうに、IS戦闘員が書いた「バーキヤ」という落書きが見えます。
「バーキヤ」とは「残留する」という意味の単語で、ISのスローガンの1つです。
ISの戦闘員は、彫像の頭部や顔の部分を執拗に破壊したようでした。
破壊されはしたものの、持ち去られずにすんだ遺物は、館内の一角に集められていました。
「遺物の修復と博物館の復旧にはまだまだ相当の時間がかかるよ」
博物館の職員は、そう話しておられました。
ただひとつ、学術上重要な遺物はISがパルミラに進駐する直前にダマスカスに移送されたことは救いです。
それらの遺物は、現在もダマスカス国立博物館に保管されているそうです。
博物館を出て、遺跡へ向かいました。
(次回へ続く)