エジプトの元柔道選手「ラシュワン」氏に日本の勲章
2020年7月24日の東京オリンピック開幕まで、あと400日ジャストとなりました。
日本のテレビでも、過去のオリンピックの話題がよく取り上げられるようになってきています。
オリンピックの話題で、エジプトの選手が注目されることはそう多くはないかもしれません。
しかしながら、1984年ロサンジェルス五輪、男子柔道銀メダリストのラシュワン選手だけは、一定以上の年代の日本人にとって忘れられない存在となっています。
この35年間、彼のことは、日本のテレビでも繰り返し取り上げられてきました。
1984年ロサンゼルスオリンピック、柔道男子無差別の決勝でのこと。
この大会中、当時の世界チャンピオンであった日本の山下泰裕選手は足を痛めていました。
その山下と決勝で対戦したラシュワンは、山下の負傷している右足を攻めることなく、怪我をしていない左足だけを攻撃しました。
結局、ラシュワンは、山下に横四方固で敗れ、銀メダルに終わりました。
試合後、ラシュワンのこのスポーツマンシップは大きな話題となりました。
結果、この年、ラシュワンは国際フェアプレー賞を受賞しました。
山下とラシュワンのこの試合のことは、現在まで語り継がれています。
例えば、一昨年、茗渓会理事長の江田昌佑さんは、柔道家の山口香さん(筑波大学準教授)との対談の中で、講道館柔道の創始者であり「柔道の父」とも呼ばれる「嘉納治五郎」の柔道精神が世界にきちんと伝わっている例として、ロサンゼルスオリンピックの決勝戦の時のラシュワン氏に触れています。
試合翌日の読売新聞には「山下が右足を痛めていたのは分かっていた。だからこそ僕は右足を攻撃しなかった。それに山下が強かったから自分は負けたのだ」というラシュワンの言葉が載ったそうです。
http://www.meikei.or.jp/data/uploads/2017/10/1095.pdf
このラシュワン氏ですが、先月発表された春の叙勲において「旭日単光賞」を授与され、そのことは、エジプトでも記事になりました。
内閣府
私たちも、過去に何度かラシュワン氏を取材させてもらったことがありますし、日本まで同行して通訳したこともありました。
近いうちにまたお目にかかれることを楽しみにしております。
ちなみにですが、ラシュワンさんの受勲が発表された官報を見ると、今回、もう一人、エジプト人の受勲がありました。
以前エジプトの外相だったナビール・ファハミ氏(5年前に死去)で、彼には「旭日大綬章」が授与されたそうです。
◇ラシュワン氏の受勲の資料【令和元年春の外国人叙勲】
賞賜:旭日単光章
功労概要:エジプトにおける柔道の普及及び対日理解の促進に寄与
主要経歴:元エジプト柔道・合気道・相撲連盟、柔道代表チーム技術顧問、元柔道エジプト代表選手
氏名:ムハンマド・アリ・アハマド・ラシュワン(Mohamed Aly Ahmed Rashwan)
性別:男性
年齢:63歳
住所:エジプト アレキサンドリア県 アレキサンドリア市