イスラミックカイロと職人の技術
エジプトと言えば、ファラオの時代にばかり目が行きがちですが、イスラームが入ってきた以降も政治・経済・文化において近隣エリアの中心的な役割を果たしてきました。
現在の「カイロ」という都市の基盤となっているのは、ファーティマ朝の第4代カリフ、ムイッズが969年から建設した新都『アル=カーヒラ(「勝利者」の意)』です。
「イスラミックカイロ」として知られるこの地区は、「カイロ歴史地区」としてユネスコの世界文化遺産に登録されています。
このエリアは現在も中世カイロの雰囲気が色濃く残っており、活気あふれる最もエジプトらしい場所だと言えます。
ファーティマ朝カイロの南の入口「ズワイラ門」。
後にムアイヤド・モスクのミナレットが門の上に建てられ、現在の姿となりました。
中世に迷い込んだかと錯覚しそうになる場所がたくさんあります。
この一角には手作りのパッチワークの工房が立ち並びます。
イスラミックカイロには、ファーティマ朝、アイユーブ朝、マムルーク朝、オスマン朝にさかのぼる何百ものモスク、マドラサ(神学校)、邸宅、キャラバンサライ、サビール・クッターブ(水場と寺子屋)、シタデル(城砦)など多くの貴重な建物があります。
しかし、受け継がれてきたのは建物だけではありません。
職人の技術もまた綿綿と受け継がれてきました。
象眼細工の工房もたくさんあります。
材料は貝。
これは象嵌細工で作られたファラオの秘宝。
現代の職人たちの先祖はもしかしたらファラオに仕えた職人だったのかもしれませんね。