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日本人にはあまり馴染みのないエジプトの肉料理(1)

私たちの食生活の根幹を支えている農耕と牧畜。
始まったのは約1万年前の西アジア、現在のイランだと言われています。
気候変動、人口増加、慢性的な飢餓、生活環境の変化。
そうした厳しい事態に直面した人類が、農耕と牧畜を新しい食料生産の方法としたようです。
農耕と牧畜はその後、シリア、パレスチナからエジプトにも広まっていきました。

もともと、ナイルの流れでできた窪地に暮らしていた古代エジプト人は、狩猟採集生活をしていました。
野草や木の実をとり、狩りをする生活です。

農耕が伝わった後、紀元前5000年頃(7000年前くらい)には、小麦や大麦の栽培をするようになりました。
また、野生動物の家畜化も始まりました。
紀元前3000年以降、ファラオの時代になってからは、牛、羊、ヤギ、ロバ、豚、家禽類など、様々な種類の動物が家畜化されていきました。

とはいえ、古代エジプトにおいて肉は貴重な食べ物でした。
誰もが食することができるようなものではなく、王族や貴族など高貴な身分の人だけに許される贅沢品だったようです。

時を経て、現代エジプト。
牛も羊も鶏も誰もが日常的に口にできる身近な食ベ物となっています。

現代エジプトの代表的な肉料理には、もも肉や胸肉をローストした「ケバブ」や、エジプト風肉団子「コフタ」があります。
ご存じの方も多いでしょう。

今回は、そうした定番ではなく、日本人にはあまり馴染みのない肉料理をご紹介したいと思います。

訪れたのは、カイロ市内の旧市街にあるハンハリーリ市場。
フセインモスクの目の前にあるエジプト料理のレストラン『エルハーティー(El Haty)』です。

これ↓って、なんだかわかりますか?

そう、これは「牛の睾丸」です。
部位名をきくと、ちょっとしり込みしてしまいそうになりますね。

お店の人は慣れた手つきで生の睾丸を次々と串に刺し、炭火焼きにしていきます。

では、食べてみましょう。

触感はどうでしょうか?
うーん、そうですね。
柔らかいスポンジを食べているような感じと言えばいいでしょうか。
焼いているからか、濃厚でとろっとした白子のような感覚はありません。

味はどうでしょう?
それが結構悪くないんです。
想像していたような独特の臭みや匂いはあまりなく、タヒーナ(ゴマのペースト)をつければ、なかないか美味です。

お次は、「ラムタルブ」と呼ばれる羊の挽肉を使った料理です。

挽肉を丸めて焼いたコフタとは違い、タルブは羊の挽肉を薄い脂身で巻いて焼き上げた料理です。
巻いてあるため中の脂が逃げず、とてもジューシーに仕上がります。
外の脂の皮はプリッとしていて、何とも美味です。

これは、ぜひともおすすめしたい羊料理です。
エジプトにいらっしゃることがあれば、挑戦してみてください。

(次回に続く)

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