ジョージアの「タマダ」とは?
前回、ジョージアの天空の街「シグナギ」をご紹介しました。
そのシグナギの旧市街に、こんな座像がありました。
同じ姿の像が、首都のトビリシ旧市街にも。
これは、ジョージアのヴァニ遺跡で出土した「タマダ」像のレプリカです。
本物は、7センチ半程の小さなかわいいブロンズ像で、紀元前7世紀頃のものとされています。
「タマダ」って一体何?
「タマダ」は、ジョージアではとても重要な存在で、起源は古代にまで遡ります。
簡単に言えば、ジョージアの宴席の仕切り役を指す言葉です。
「スプラ」と呼ばれるジョージアの特別な行事や祝祭の宴席で、場を取り仕切る宴会部長のような役割をつとめます。
宴席の主催者として乾杯の音頭を取ることから始まり、ゲスト同士の交流をうながしたり、時には歌やダンスを披露して宴会を盛り上げ、ゲストをもてなすのが仕事なので、人前で話す能力に優れており、ゲストを魅了できるエンターテイナーでなおかつ人々から敬愛される人でなければ務まらないそうです。
乾杯の前には「タマダ」が何に乾杯するのか口上を述べます。
そして、ゲスト一人一人が順番に、そのテーマに沿って、自分の言葉で語りながら、酒を酌み交わしていきます。
テーマは、ジョージアの歴史や友情、家族、はたまた文学や芸術など、さまざまです。
「タマダ」が手に持っているのは、古代ジョージアの祝宴で蒸留酒を飲むために使用された特別な酒器。
牛や野生の山羊などの角で作られていました。
現代においても、結婚式やお祭り、公的なイベントには「タマダ」がいます。
近所や友人同士の小さな集まりでも、タマダ的な役割をつとめる存在感のある人物が必ずいるんだそうです。
そういや、2年ほど前、在日ジョージア大使館が、「みんなのタマダ募集」という文化交流企画を行っていました。
■ジョージア大使館企画「みんなのタマダ」募集のためのプロモーションビデオ
シグナギの街で、中世の城壁と石畳が続く街並みと、広大なワイン畑を眺めていると、その昔ジョージアの人々が集ったであろうスプラの様子が目に浮かんでくるようです。
歴史あるジョージアワインのように、宴席の場でも、人々は伝統や独自の文化に敬意を払って、人間関係を深めてきたんですね。
ガウマルジョス!