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「火の国」アゼルバイジャンの「炎」

アジアとヨーロッパの境目に位置するアゼルバイジャンは、石油や天然ガスなどの天然資源に恵まれた国です。
現在、アゼルバイジャンからトルコを経由して、ギリシャ、イタリアに天然ガスを運ぶパイプラインが稼働しています。

石油に関しては、2010年以降減産フェーズに入っているものの、20世紀の前半には首都バクー周辺の油田が、世界の消費量の半分を供給していました。
本格的な採掘がはじまったのは19世紀半ば。
しかし、油田の存在自体は8世紀にはすでに知られており、13世紀の「マルコポーロの東方見聞録」にも伝聞情報として登場します。

アゼルバイジャンという国名は、ペルシア語で「火の保護者」という意味です。
アゼルバイジャンは、自国を「火の国」と呼んでおり、国章にも火が描かれています。
地中から噴き出す天然ガスが空気や砂との摩擦で自然発火して、そのまま燃え続ける火がその名の所以です。

観光地となっている「ヤナルダー」はまさに「火の国」アゼルバイジャンを象徴する場所。
石油採掘場近くにある小高い丘の地中から吹き出す天然ガスが尽きることなく燃え続けています。

アテシュギャーフ(拝火教寺院)も、そうした「火」のひとつです。
紀元前7世紀頃、地表に沸く天然ガスが自然発火したことから、火を崇拝するゾロアスター教徒に聖地と見なされたと伝えられています。
現在の寺院は、イスラームの流入以後一旦すたれた拝火教の復活を目指して18世紀に再建されたもので、当時は寺院だけでなく隊商宿としても利用されていたそうです。

首都バクーの市街地はアブシェロン半島南岸のカスピ海・バクー湾に面して広がっています。
バクーは、12世紀以降、アジアとヨーロッパを結ぶ交通の要衝として栄えてきた都市でしたが、近年は近未来都市として注目されることも多くなっています。
新しさと古さが同居しているのがバクーの最大の魅力。
伝統的な技術で造られた旧市街の美しい建築物や石畳の街路が、最新の技術に支えられてそびえ立つ現代のビル群と劇的なコントラストを見せています。

ちなみに、「バクー」とは、ペルシャ語で「風の街」の意。
また、「カスピ海」は、北側からヴォルガ川,ウラル川,クラ川,テレク川など複数の川が流れ込んでいるけれど、流れ出す川が存在しないことで知られています。

現在のバクーの町にも「火」をモチーフとする建造物がいくつかあります。

旧市街の写真にも写り込んでいたフレームタワー。
炎の形をした3つのタワーは、ホテルや住宅、オフィスとなっています。

地下鉄の駅の広場にある音楽噴水「ザ・フレーム(炎)」。
螺旋形のこの彫刻は、幅35メートルの三角形の池の中央に立っており、炎をモチーフとしたデザインとなっています。
ステンレススチールのフレームにLED バーが組み込まれていて、光と水が融合するショーが行われます。

「火の国」アゼルバイジャンとその首都バクーについては、日本ではまだまだ知られていないことが多いかもしれません。
これから、もっともっとその魅力をお伝えしていきたいなと思っております。

最後になりましたが、皆さん、よいお年をお迎えください!
2024年もよろしくお願い致します。

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