スタッフが見聞きしたアンマンの日常
この瞬間も、国境の向こうでは銃声が響いています。
しかし、その隣にあるこの国では、穏やかな光が丘を照らし、人々が平穏に暮らしていました。


「観光? ほとんど来ないよ、戦争のせいでね」
ガイドを仕事としているムハンマドさんによると、観光業界は、コロナ禍からは復活したものの、隣国の戦争のために、収入は1/4に減っているそうです。
彼の家族は4人。
養うのも大変だと言っていました。

カラフルな装飾と活気に満ちたカフェや店舗が並ぶ「レインボー ストリート」

ヘラクレス神殿跡

キング・アブドゥッラー1世モスク
「エジプト人とヨルダン人って全然違うよ。
同じアラブの国だけれど、気質はまるで別。
エジプト人は賑やかで、人懐っこい。
でも、ヨルダン人は……
ちょっと真面目で、静かなんだ。
チップの金額だって、くれる人の判断に任せてる(笑)」
押しつけがましくない、どこか控えめな感じはアンマンの街の人々や風景からも感じられました。
観光客との距離の取り方もしかり、です。
夕方、アンマンの旧市街で、ムハンマドさんが一軒のマンサフ屋に案内してくれました。
地元の男性たちが談笑しながら食事中でした。
観光客らしき姿は見えません。
マンサフは、ヨーグルトで煮込んだラム肉と米を発酵乳のソースと一緒に食べるヨルダンの国民食です。
見た目は素朴だけれど、食べ進めるごとにじわじわと旨みが増します。

この日アンマンでずっと考えていたのは、「ここには確かに人の暮らしがある」という当たり前のことでした。
SNSで話題になるような特別な体験ではないけれど、誰かが買い物のために街を訪れ、誰かが食堂でたわいもないおしゃべりをし、誰かがモスクで祈り、誰かが……。
戦場となっている隣国のニュースを見るたび、ヨルダンで見聞きしたそうした何気ない日常を思い出します。