2025年6月のダマスカス(2)
シリアには現時点で6つの世界遺産が登録されています。
ダマスカス旧市街もそのひとつ。
旧市街の街並みは美しく、生々しい内戦の傷跡にぱっと見では気づかないほどです。
壁にしな垂れるツタの葉が一層の風情を感じさせてくれます。

各所に個々の路地や建物の歴史を説明する標識があるのも旧市街ならではです。
時代によって名称や用途が変わったことが説明されています。

6月はブーゲンビリアが満開でした。
石壁に色が映えてただの小路もさながら映画の中の風景のようです。

旧市街のジュース屋さん。
昔ながらの手動の搾り機で搾ってくれるオレンジジュースは格別の味です。
丸いタンクに入っているのは「ジャッラーブ」という糖蜜と薔薇水で味付けられたジュースで、シリアをはじめとしたレバント地方で広く好まれます。

薔薇の産地としても知られるシリア。
香水や薔薇水の原料として知られる品種の「ダマスクローズ」という名は、ダマスカスに由来しているんです。
旧市街に限らず、ダマスカスには美しいミナレットを持つモスクがたくさんあります。
建てられた時代や治世者によってミナレットのデザインが異なるため、ミナレットを見上げながら歴史散歩ができますよ。

ローマ帝国時代から栄えていたダマスカス。
さまざまな時代のそれぞれの権力の影響を受けて蓄積されたシリアという国の美しさ。
そして、そこで生きてきた人々の強さ。
町を歩きながら、そんなことを考えていました。
