白と青の小さな楽園「シディ・ブ・サイド」
真っ白な壁とそこに穿たれた鮮やかな青の開口部。
窓周りにはアラブとアンダルシアの両方の香りを醸し出す様々な意匠。
シディ・ブ・サイドはチュニジアで最も美しい街として知られ、「白と青の小さな楽園」という異名を持っています。
白い壁は強い日差しを反射し、青は虫除けの意味もあると言われています。
首都チュニスの中心地からは約20㎞、世界遺産カルタゴのすぐ近くにあります。


17世紀、この地に魅せられたチュニジアのブルジョワ階級が贅を凝らした住宅を建て始め、19世紀末に「シディ・ブ・サイド」となりました。
1915年には世界でおそらく初めての「村の景観保護条例」が制定されました。
その中で、青と白以外の色の使用と岬の上へ無秩序な建設を禁止されたことがシディ・ブ・サイドの現在の景観につながっています。
建築研究者の土屋和男氏は、シディ・ブ・サイドの住宅について次のように書いています。
「装飾は周囲がシンプルであればあるほど、その効果を発揮する。平滑な表面のなかにあってこそ、その輝きや凹凸が目立つのだ。シディ・ブ・サイドの白のなかの青は、建築における装飾と色の効果をこの上もなく簡潔に、鮮明に教えてくれる。」








20世紀、シディ・ブ・サイドには、アンドレ・ジイド、シモーヌ・ド・ボーヴォワールなど、たくさんの芸術家、音楽家、作家が訪れました。
1914年にチュニジアを旅した画家のパウル・クレーもしかり。
ミシェル・フーコーが『知の考古学』を書いたのもここ「シディ・ブ・サイド」だそうです。
現在「アラブ・地中海音楽センター(CAMM)」として使用されているエネジュマ・エッザハラ宮殿は1912年から1922年にかけて建てられました。
当時チュニジアやモロッコ、さらにはエジプトから最高の職人が招集されたそうです。
1989年にチュニジアの歴史的建造物に指定され、宮殿の外観や内装の建築様式、装飾の変更、庭園の再配置などが禁止されたため、音楽だけでなく、建築や庭園に関心がある方も必見です。
